【レビュー】バベル号ガイドブック|バタフライエフェクトが魅力的なパズルゲーム

ゲームレビュー
タイトル名バベル号ガイドブック
発売日2023年8月3日
ジャンルパズルアドベンチャー
対応機種Nintendo Switch、Steam
発売元Pixmain
クリア時間約10時間

本作は、わずかな変化を与えることで未来が変化する「バタフライエフェクト」要素を導入したパズルアドベンチャーゲームです。

タイトルにもある「バベル号」は来世に転生するお手伝いをする船で、主人公の1人であるブレイスがこの船に乗船したところから物語が始まります。

ブレイスを含めて、4人の主人公が存在。

その4人をそれぞれ操作し「バタフライエフェクト」を起こすことで、他の主人公の進行にも影響が出ます。

物語を進めることで、バベル号の真実とそれを取り巻いている人物たちの関係が明らかになります。

序盤~中盤の展開は落ち着いていましたが、終盤の展開はとても面白い作品でした。

今回は、そんな本作のクリア後レビューをしていきます。

よかったところ

設定とギャップのある世界観

本作の明るいけど少し不気味な世界観がとてもよかったです。

なぜ不気味に思えたのか、それは本作の設定と船内の雰囲気にギャップがあるからだと思っています

船内は華やかで船員も明るい人が多いです。

そこがどことなく不気味で、バベル号の設定である「来世への転生をお手伝いする船」とは思えないような雰囲気

そして、物語を進めていく中で、船員の言動や船内の施設から、確かに設定どおりの船に乗ったのだと実感していきます。

こういった、我々の現実世界とかけ離れた想像もつかないような世界感と設定に魅力を感じました

また、現実世界にある冷蔵庫や音楽のCDなども船内では貴重品として存在する上に、船員は用途も知らないことがあるので、我々では常識的なことを知らない感じも現実世界との乖離を感じて新鮮です。

例えば、用途が分からずギターとテニスラケットを間違えた船員さんもいて、ちょっとかわいくも思えました。

絵本のようなグラフィック

本作の暖かみのあるグラフィックは遊んでいて癒されました。

特徴として、まるで絵本のようなグラフィックをしています。

タイトルに「ガイドブック」と付いているだけあって、紙の質感にこだわった優しいグラフィックです。

バベル号という冷たい設定でしたが、絵本のような温かく優しいグラフィックで世界やキャラクターが描かれており癒されました

徐々に見えてくるキャラクターの関係性

本作は4人の主人公以外にも多くのキャラクターが登場

そしてバベル号を舞台に、登場人物の関係性が明らかになります

一見関係なさそうな人物が親子だったり、別の主人公のチャプターで活躍した人物が今操作している主人公のチャプターに出てきて問題を解決する鍵になったりとか、徐々に明らかになる人物同士の関係性が面白かったです。

また、「記憶ランナー」と呼ばれる収集要素は、集めることで登場人物の関係性や物語をより深く理解することができます

私は部分的にしか集めていませんが、断片的にでも登場人物の関係性がわかったときは鳥肌が立ちました。

主人公がバベル号に乗船してからの時系列もメニューで確認することができるので、全体の物語を理解するのにこれから遊ぶ方は活用してみてください。

気になったところ

バタフライエフェクト要素は薄い

本作の醍醐味の1つである「バタフライエフェクト」要素は薄いように感じました

というより、バタフライエフェクト要素はありましたが、期待していたよりシンプルなものが多かった印象です。

バタフライエフェクトを起こす場面というのは、キャラクターのチャプターが進行不能になった時に起こす必要があります。

過去のチャプターに戻って進行不能になっている原因をリビジョン(実行することで環境に変化を与えること)して取り除くことで、未来が変わり問題が解決するといった感じです。

基本的に1つの進行不能な原因に対して1度のリビジョンで解決するものが多く、複数のキャラクターが複雑に関係していたり、会話の選択肢で未来が変わるなどはあまりありませんでした。

どちらかというと、イベントを回収して組み立てるパズル要素が強く出ていたかなと思います。

バタフライエフェクト要素は、これから遊ぶ方はあまり複雑なものを期待しない方が楽しめるかもしれません。

不自然なローカライズと唐突な固有名詞

全体を通してローカライズの不自然さが気になりました。

少々回りくどい言い回しだったり、支離滅裂で会話が成立しているのかわからない日本語訳が度々あった印象です。

理解できなくはないですが、「ん?これはどういうことだろう…」ってなることがあり、何となくで理解していった場面も多くありました

また、翻訳と関連してバベル号の固有名詞が急に出てくるのも会話の理解をより難解にします

以下の画像は、船員同士で会話しているテキストログなのですが、「プップグ」というワードが唐突に出てきています

このような固有名詞はメニュー画面に戻ると確認できるのですが、ゲームプレイ中に確認できるとよかったなと思いました。

時間をかければ理解できますが、翻訳のクオリティにはあまり期待しない方がよいと思います。

終わりに

バタフライエフェクトを活用したアドベンチャーゲームというワードに惹かれて遊びましたが、思った以上に世界観に引き込まれました。

ローカライズが不自然なためすぐに物語を理解するのは難しかったですが、じっくりと遊ぶと理解できますし、理解した上で判明する登場人物の人生が交錯した物語も見ごたえがあります。

バタフライ要素を取り入れたアドベンチャーゲームは珍しいのではないかと思うので、気になる方はぜひ遊んでみてください。

パズルゲームとしても面白かったので、おすすめです。

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