総評
「魔法の絵筆」で世界に色を塗ることにより、ギミックを作動させるアクションパズルは直感的で楽しかったです。全体を通してプレイヤーの個性を尊重してくれるゲームで、創造性が問われる場面は長考したものの、愛らしいキャラクターたちで彩られた世界は魅力的でした。
おすすめポイント
タイトル名 | チコリー色とりどりの物語 |
発売日 | 2023年12月21日(Switch版) |
ジャンル | アドベンチャー |
対応機種 | Switch、PS4、PS5、XBOX、Steam |
発売元 | Finji |
クリア時間 | 約11時間 |
「チコリー色とりどりの物語」は、「魔法の絵筆」を使って世界に色を取り戻す塗り絵アドベンチャーゲームです。
魔法の絵筆を自在に使いこなす絵筆使いであるチコリーの元で掃除係として働く主人公。
いつも通り部屋の掃除をしていると、世界中の色が消えて白黒の世界になった上にチコリーまでいません。
そこで主人公は、チコリーの使っていた「魔法の絵筆」を片手に冒険に旅立ちます。
絵筆の操作は簡単で、好きな場所にポインターを合わせてZRボタンを押すのみ。
ZRボタンを押し込みながらポインターを動かして、至る所に色を付けちゃいましょう。
絵筆は画面上見えている範囲全てに色を付けることができます。
戦闘や謎解きもありますが、複雑な操作は要求されませんし、直感的な操作でどんな人でも楽しんでプレイできると思います。
因みに、主人公の名前がチコリーというわけではなく、最初に好きな食べ物を聞かれた際に入力したものが主人公の名前となるんですが、遊び心がありますね。
私の場合、「カレーライス」になってしまいまいました。
良かったところ
とにかく色塗りが楽しい
世界の至る所に色を塗って回るのがとにかく楽しかったです。
冒頭でも少し触れましたが、本作は「魔法の絵筆」を使ってマップの至る所に色を塗れるのが大きな特徴。
地面だけではなく、家や木、人物や空にまで目に見えている範囲全てに色を塗ることができます。
色を塗って自分だけの世界を創っている感覚だけでもとても楽しいですが、色を塗ったことでNPCからリアクションが返ってくるのも嬉しかったです。
例えば、ある住民の家に色を塗ったとき、「いい色使いだ!」と褒めてくれたりしますし、とあるエリアに色を塗ると「ここの色遣いは最高だ!」と褒めてくれたりもします。
世界に色を塗ることで自分だけの世界を創り上げ、その上でめちゃくちゃ褒めてくれるので、自分の個性に自信が持てる体験ができました。
キャラクターがかわいい
動物がモチーフのキャラクターたちがかわいいです。
見た目もかわいいのですが、それぞれに個性的な喋り方や性格、表情など、かなり愛着が湧きます。
特に私のお気に入りは物語序盤で出会うピクルスというキツネのキャラクター。
彼女は、主人公の暮らす「ランチビレッジ」の住人なのですが、関西弁とやんわりとした話口調がとても印象的で、プロローグからエピローグまでずっと推しキャラの1人でした。
他には、メインキャラクターのチコリーもかなり好きで、物語で描かれる彼女の絵筆使いとしての葛藤がとても感情移入できました。
ギミックの種類が豊富
本作はチャプターごとに目的が様々で、冒険の舞台となるピクニック地方を巡ることになります。
もちろん、すんなり目的地に行くことはできません。
道中には障害がたくさんあり、その障害を魔法の絵筆と用意されたギミックによって乗り越えていきます。
色を塗ることで破裂する風船や色を消すことで縮む木など、豊富な種類のギミックや謎解きが用意されているのが特徴です。
それも、チャプターごとに全く新しいギミックが登場するため、プレイしていて「前も見たな」とか「飽きたな」とか思ったことはありません。
また、チャプターの終わりに主人公は新しいアクションを覚えます。
新しいアクションを覚えると、一度訪れた場所でも新しい発見が何度もあったので、探索も楽しめました。
Joy-Conを使った操作
Switch版ではJoy-Conのモーションセンサーを使用した操作もできます。
コントローラーの操作ではスティック操作になるので、どうしても親指が疲弊してしまうのですが、Joy-Conを使ってプレイすると手首を傾けるだけで色を塗ることができてかなり楽です。
色を塗りたいところにポインターも動かしやすく、直感的に操作できました。
本作は複数のハードで発売されていますが、Joy-Conを使った操作というのはSwitch版だけの特権ですね。
Joy-Con操作への切替は、設定で「Joy-Conモーション」をONにしておく必要があります。
Joy-Con操作の快適性を知ってからは、私はずっとJoy-Conを使用して遊んでいました。
また、Switch版で携帯モードを使用すれば、タッチパネルによるタッチ操作もできます。
専用のタッチペンなどを使えば、かなり本格的に絵を描くことができるのではないかと思ったりもしました。
気になったところ
お絵描きパートに長考する
本作は色を塗るだけではなく、実際に絵を描くパートがあります。
個性を出せるイベントの1つですが、私には絵心がないので、長考してしまいましたし改めて絵を使った表現が苦手だと感じました。
例えば、カフェに行くとシャツのロゴのデザインをお願いされたり、新作スイーツのデザインをお願いされたりと、絵筆使いという立場もあって、クリエイティブな仕事を依頼されます。
デッサンならまだしも、白い紙を渡されて「ここに自由に書いて」と言われても、正直かなり戸惑います。
しかも、私は主にTVモードでプレイしているので、コントローラーのスティック操作やJou-Conのモーションセンサーの操作では、なかなか思うような操作ができずストレスでした。
操作性は置いといて、お絵描きが好きな人や創造性が豊かな人であれば楽しめる要素だと思います。
ロード時に少し前からになる
マイナスボタンを押して「セーブしてタイトルに戻る」を選択した際に、続きから遊ぼうと思いロードすると前回アイテムを取得する直前にロードされることがありました。
地味に困るこのような現象ですが、原因もわかりません。
例えば、ダンジョン手前まで行って「続きは明日しよう!」と思ってセーブして終わると、何故かダンジョンから離れた場所でのロードとなったことが何度かあります。
セーブは確実にしたのにもかかわらずです。
大きな手間ではありませんが、ゲームを止めるタイミングに終始気を使いました。
チャプター終わりにセーブして終わるから続けるか聞かれるため、そのタイミングで止めるか、アイテムを取得した直後に止めるか、ゲームを止めるタイミングに工夫が必要かもしれません。
終わりに
Switch版よりも前に発売されたSteamなどでも高い評価を得ている本作ですが、私が本作の存在を知ったのはSwitch版の発売日でした。
ゲーム紹介映像を見て、塗り絵を使った豊富なギミックと軽快な音楽、可愛らしい世界観に惹かれてすぐさまプレイしました。
想像した以上に素晴らしかったのは物語の方で、自分という存在の在り方についてのメッセージ性が強く、主人公にかなり感情移入できたのもよかったです。
クリア後もまだこの世界に浸っていたいと思わせてくれるような、アットホームな作品でした。
コメント